過大支払利子税制~平成31年度税制改正~

はじめに

平成31年度の税制改正で過大支払利子税制の改正が行われました。平成24年に創設以来、初めてではないでしょうか。
元々過少資本税制が補えない部分を手当するために、この税制ができたと記憶していますが、まだ租税回避が懸念される事例がありました。
この過大支払利子税制、実務では引っかからないようにスキームを組んでいくケースが多いですが、私も一度、顧問先の外国事業のスキーム検討段階で議題にあがったことがあります。
しかし、我々のような中小企業の顧問先がメインの会計事務所は、国外関連者への利子で1,000万円(改正で2,000万円に)を超える顧問先がまずないので、この税制について考えることはあまりなかったです。
今回の改正でも基本的に考える必要ないですが、外国銀行から多額の借り入れをしている場合は注意が必要です。

租税回避の事例

非常にざっくりですが、日本の親会社であるA社が外国銀行から借入して、国外関連者であるB社に出資すれば、B者が直接外国銀行から借入するよりもグループ全体の税負担を軽減できます。A社とB社の間に金消契約はないので、もちろん過大支払利子税制にも過少資本税制にも引っかかりません。
言われてみればシンプルですね。外国の銀行を介した国際間の所得移転です。

改正の内容

改正されたのは下記の赤字部分です。
その前に、過大支払利子税制の損金不算入額の算出方法(改正前)の確認ですが、

「関連者純支払利子等の額-(調整所得金額×50%)=損金不算入額」となっていました。

対象の支払利子等の額の拡大

国外関連者に対する純支払利子等の額→第三者含む国外に対する純支払利子等の額

上記の図の外国銀行へ支払う利子も対象となります。主要国で関連者に限定していたのは日本とフランス(限定的)だったようです。

調整所得金額の拡大

調整所得金額から受取配当等の益金不算入及び外国子会社配当の益金不算入を除く

調整所得金額は、所謂EBITDAです。デューデリで使うあれです。
改正前は受取配当等及び外国子会社配当の益金不算入の額が含まれていましたが、これが除かれることとなりました。
加算していたのは主要国では日本独特のものだったようです(海外で受取配当の益金不算入があるかは知りませんが)
必然と調整所得金額は小さくなり、損金算入される支払利子も小さくなるような改正です。

損金算入限度額の縮小(課税対象の拡大)

調整所得金額をにかける割合が50%→20%

調整所得金額にかける割合が20%に縮小される=損金に算入される支払利子等が縮小されます。
BEPSプロジェクトでEBITDAの10~30%に縮小しようという動きがあったようです。

適用免除要件の緩和

どちらか満たせば過大支払利子税制は免除されます。

  1. 対象純支払利子1,000万円→2,000万円
  2. 国外関連者に対する支払利子等の額が法人の総支払利子等の額の50%以下→50%超の資本関係を有する全ての内国法人の対象純支払利子等の合計額がこれらの内国法人の調整所得金額の合計額の20%以下

これだけ納税者有利の改正でしょう。
1については、対象となる支払利子等が拡充されたことによる拡大なので分かります。
2はちょっと難しいですが、グループ全体で国際間の所得移転がなされていないか判定しようということだと思います。

おわりに

今回、復習も兼ねて記事にしてみましたが、中小企業の顧問先が中心の会計事務所では、検討する機会は希だと思います。
外国に多額に利子を支払う場合、一応注意すればいいでしょう。


税理士法人絆 高木誠

2019年4月現在法令等

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