平成19年3月31日以前に設立された持分あり医療法人が抱える問題とは!?
- 出資者であり、社員である者は、退社することを要件に出資持分に応じた払戻を請求することができます。払戻額は高額になることが多い上、実務的には現金での支払いが余儀なくされるため、医療法人の財務体質が急激に悪化することになります。
- 事業承継時や相続時などに出資金を財産として扱うため、多額の税金を支払わなければなりません(所得税、相続税、贈与税等) 医療法人の出資金の評価方法は会社の規模や同族会社であるか否かによって異なりますが、類似業種の業績を基に評価する類似業種比準価格方式、会社の純資産を基に評価する純資産価額方式、またはこれらの方法の併用方式により評価を行います。(財産評価基本通達194-2)
何らかの対応策はないのか!?~認定医療法人制度を使った持分なし法人への移行~
平成29年10月より、【持分あり医療法人】から【持分なし医療法人】への移行計画認定制度が改正(事実上の要件緩和)されます。 認定医療法人制度を利用して持分なし医療法人へ移行(新制度) 既存の「持分あり医療法人」は、「経過措置医療法人」として当分の間は存続が可能となっています。 しかし厚生労働省は、地域の安定した医療提供を目的として「持分あり医療法人」から「持分なし医療法人」への移行を促進しています。
【適用要件】
A.厚生労働省の認定を受けた認定医療法人であること(平成32年9月30日まで)
〈認定の要件〉~抜粋~
- 社員総会の決議があること
- 移行計画が有効かつ適正であること
- 移行計画期間が3年以内であること
- 法人関係者に利益を供与しないこと(同族関係会社との取引は適正か!?)
- 役員報酬について不当に高額にならないように定めていること
- 社会保険診療に係る収入等が全体の80%超等
B.移行後6年間上記の①~⑥を満たしていること
これらの適用要件を満たせば、
- 出資者死亡時の相続人に係る相続税が猶予、免除されます。一部出資者の持分放棄・低額払戻し時の他出資者へのみなし贈与に係る贈与税が猶予、免除されます。
- 持分なし医療法人移行時に当該法人に係る贈与税は非課税となります。(平成29年10月に改正)
平成32年9月まで使える注目の制度です!!
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