派遣医師に対する源泉徴収

医療機関では非常勤医師として大学病院から医師の派遣を受け、当医療機関において診療に従事してもらうケースがあります。
その場合、取り決め事項として医師の給与の支払いについては手取り額が規定されており、派遣を受けた都度支払(日払い)とする慣行があります。
そこで派遣を受けた医療機関では、医師の給与について源泉徴収税額表を用いて源泉徴収を行うことになりますが、日額表乙欄を使う場合、当医療機関の支払総額が高額になることがあります。

目次

源泉徴収税額表の種類と使い方

源泉徴収税額表をご覧になったことはありますか?
これは、給与の支払時に給与の支払い方・金額によっていくら源泉徴収をすればよいか記載してある表で、毎年12月頃に翌年分の源泉徴収税額表が事業所へ送られてきます。
またネットでも検索すれば確認することが可能です。

  1. https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2511.htm (税額表の種類と使い方)
  2. https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2019/02.htm (令和2年分源泉徴収税額表)

当医療機関が負担する給与の違いについて

上記2.の表を使って手取3万円の給与を支払う場合の源泉所得税の計算を行ってみました。

  支払総額 源泉徴収税額 手取り
月額表乙欄 30,947円 947円 30,000円
日額表乙欄 48,205円 18,205円 30,000円
日額表丙欄 32,397円 2,397円 30,000円

このように日額表乙欄で源泉徴収することにより、当医療機関の支払総額が増えます。

当医院の負担を軽減できるか?

上記のような状況から、昭和57年9月20日付照会に対して、次のような支払基準による支給については、月額表乙欄で源泉徴収を行ってよいと国税庁から回答が出ています。

  1. 月間の給与総額をあらかじめ定めておき、これを月ごと又は派遣を受ける都度分割して支払うこととするもの
  2. 月中に支払うべき給与をまとめて月ごとに支払うこととするもの

これらの基準に合致していれば月額表乙欄を使うことができますが、合致するかどうかの判断が必要です。
以下のような裁決を参考に、日額表乙欄にならないような契約ができればと思います。

  1. 大学からの派遣医の給与について、派遣当日にならないと派遣医が誰であるかわからず、勤務した日ごとに支払われる給与は、偶然に月の勤務回数が1回から3回であっても、一定期間ごと支払期を定めたものではないため、上記1.には該当せず、日額表の乙欄によって源泉徴収すべき
  2. 毎月一定日勤務することをあらかじめ取り決めてあった場合、勤務した日ごとに定額の給与の支払いを受けている場合であっても上記1.に該当するため、月額表乙欄によって源泉徴収すべき
  3. 継続して勤務する取り決めはなく、その都度臨時的に勤務した場合は、日々雇い入れられる者に対する給与に該当し、日額表丙欄で源泉徴収すべき

https://www.kfs.go.jp/service/JP/83/12/index.html (平成23年6月7日採決)

税理士 寺本由花子

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